以前記事にした【美容師が外国人のヘアカットをする時に必要な知識と注意点】の第2弾としてカラー編を作ってみました。
海外と日本とでは使われてる薬剤の種類が違う為に失敗するケースが多く見られます。
今回もロンドンで2年、ニューヨークで5年、日本で1年働き外国人率70%担当してきた僕の経験談を通して説明していきたいと思います。
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欧米人のカラーをする時に必要な知識と注意点
欧米人のカラーをする場合に知っておくといい知識と、注意点をこちらで説明してきたいと思います。
欧米では2剤で使うオキシのパーセンテージが3%、6%、9%、12%まであるのが特徴です。
また、日本のカラー剤の場合はブラウンの中にもアッシュ味が含まれていたり、日本人の髪の毛に適したカラーの調合がされているので純粋に単色の色で作られてないですが、欧米のカラー剤は、ブラウン、レッド、アッシュなど単体の色味を調合してアッシュブラウン、レッドブラウンなど作るのが通常です。
フルカラーの場合
欧米人の髪の毛はもともと色素が薄く明るい髪質の方が多いです。
なので日本のカラー剤で染めると、カラーチャートのようなキレイな色が出やすいのが特徴です。
なぜならベースカラーが明るいので赤味やオレンジ味が少なく色味を出しやすいからです。
ブリーチした髪の毛に色を乗せてるような感じでしょうか。
なのでカラーチャートも、黒髪に染めた色より、ブリーチに入れた色味を見せてあげる方がわかりやすいと思います。
注意点として、ブラウンっぽくしたいお客様に日本のカラー剤のブラウンを使用しても、日本のカラー剤にはアッシュ味がもともとから入っているものがたくさんあります。日本人の髪の毛は暗いので赤味が出にくいようにもともとアッシュ味が入ってますが色素の薄い欧米人の髪の毛にそれを使うとアッシュ味が入ってる分少し濁ってしまい、求めてる色より暗く出てしまうことがあるので注意が必要です。
また、キューティクルがアジア人より多く白髪などとても染まりにくいです。白髪は染めたいけど暗い色味ではなく明るい色味で白髪をカバーしたい方が多いので、日本人のように低ダメージで3%を使ったりすることもありますが、6%を使いしっかり時間をおいてあげることが必要です。
ハイライトの場合
日本で流行ってるハイライトと欧米で流行ってるハイライトの違いがあります。
それは欧米ではコントラスト(立体感)を重要視してるところです。
一本一本のハイライトが際立ち立体的に見えるようなハイライトが好まれます。
ですが日本で日本人がやっていたハイライトといえば、中間〜毛先をブリーチで一度で染めて明るくし、毛先だけまたブリーチしてグラデーションのように少しずつ明るくなるカラー技術でした。
欧米人は自然なカラー、ナチュラルに見えるスタイルを好むためにグラデーションカラーをしてしまうとクレームになりやすいです。
なので、欧米人にハイライトする時は、しっかりとウィービングで毛束を取ってあげて、根元から少しずつ中間から毛先に行くに従ってハイライトの筋が多くなるようなデザインが好まれます。
フルカラーと同じように欧米人の髪の毛はキューティクルが厚いので、2剤の6%では綺麗にブロンドまで明るくすることが難しい場合もあります。薬局などで過酸化水素水が売ってあり、それを使って9%や12%を作ることは可能ですが日本の薬事法では認められていませんので、6%で2度塗りをしたりしてあげるといいですね。または、ホイルワークでしっかりと薬剤をつけて1時間以上放置してあげるとよりいいです。
ハイライトの入れかたも、欧米ではバレアージュ(Balayage )&オンブレ(Ombre)と呼ばれるカラーデザインが主流となっており、日本人は好みませんが顔まわりに大きめの筋状のハイライトを入れる方が多く見られます。
また日本人のグラデーションのように中間から毛先だけではなく、根元付近から細いハイライトを入れる方が多いです。
ハイライト後の明るくなった色味に対してのアプローチですが、海外ではトナーと呼ばれるアルカリ剤ではなく、酸性カラーのような色味だけを入れてあげることが多くあります。
基本は明るめの酸性カラーを薄く入れてあげるような気持ちでトナーを作ってあげる事が重要です。
しっかりと色味を入れたいからといって、少し暗めの色を入れてしまうと沈んでしまう確率が高くなります。
また、明るめのグレーを希望するお客様がとても多いですが、日本の薬剤に入ってるアッシュ味が強すぎて沈むパターンも多く見られます。
なので後ろの髪の毛で少しテストして5分ほど置いたりして確認してあげる方がいいと思います。
アジア人のカラーをする時に必要な知識と注意点
アジア人の場合は日本人の髪質が近いと言う事もありそこまで失敗がないように感じます。
アジア圏でも、やはり日本のファッションに対しての意識が他の国の方も憧れてるので【日本人モデルの〜さんのような髪の毛にしてほしい】など日本の有名人の方の写真を持ってこられる方もいますね。
中国人のお客様の場合
中国人の髪の毛をカラーする際は、一度シャンプーして油分をとってあげる事をオススメします。毎日頭を洗う習慣がないので、頭皮から出る油分が2日、3日など溜まってるのでどうしてもカラーの浸透率がとても悪いです。
カラーした事がないお客様であれば中間〜毛先は色味が暗いので明るくする事が難しいです。
なので施術前にしっかりと毛質、根元の状態を確かめて色が入りやすいかどうかを確認し、油分が多くベタっとした感じであれば必ずシャンプーしてください。
韓国人のお客様の場合
韓国人のお客様は直毛の方が多く、日本人よりも髪の毛を明るくするのに時間がかかる印象があります。これも海外であれば9%や12%のオキシで対応できるのですが、日本で使えるのは6%までなので、2剤の量を多くしたり、時間をしっかり置いたり、2度塗りしてあげる事が重要です。
普通通りカラーすると、『イメージしたのより何か暗いなー』と感じたり、『赤味が取れないなー』などの結果が出やすいので、日本人より赤味が出やすい人種と思ってカラーの調合を考えた方がいいと思います。
インド人のお客様の場合
インド人をカラーする際に注意してほしい事が、ヘナを使ってる割合がとても多いと言う事です。インドではヘナがとても有名なので、白髪染めとして多くの人が使用し、髪の毛の表面をコーティングしてくれるのでツヤカラーとしても使われてます。
ヘナカラーはもともとの地毛を明るくする事は出来ないので、ずっとヘナを繰り返し使ってきた人たちの中に、『もう少しブラウンっぽくしたい』という方がたくさんいます。今までは黒髪、ロングヘアーが美しいというイメージだったインド人の女性ですが、明るいカラーを希望する方が年々増えてるように感じます。
なのでそのようなお客様に対して可能なアプローチとして、根元のカラーを少しずつ明るくしながら徐々にトーンアップしてあげる方法。
または、ブリーチハイライトを全体に細く入れてあげる方法ですね。前者の根元のカラーを少しずつ明るくする方法の場合、どうしても根元と、ヘナで染められた部分の境目は出やすく、半年もすると中間毛先の暗い色が目立ってしまいます。なのでそういう部分もきちんと説明してあげる事が重要です。
また後者のブリーチハイライトを入れる際、ヘナの色味が強く残っていますので一度のブリーチハイライトだと確実にオレンジ味がかなり強く残ります。あまり明るいハイライトだと、ヘナの黒い部分と明るい部分とで差が出てきてしまうので、ブリーチを使ったハイライトも、ライトナーなど使用し、その後にオレンジ味を打ち消すぐらいのブラウンっぽい色に仕上げた方が好まれます。
まとめ
ヘアカラーもヘアカットと同じようにその国で好まれてるスタイルによってもデザインや好みが異なってきます。
また同じ国に住んでいても、人種によっても様々なデザインの好みが異なります。
なので一番ベストな方法は、写真を使用して、しっかりとカウンセリングを行う事が重要であり、ケミカルを使った施術の場合は日本人の時と同じようにできる人種とできない人種を理解している事ですね。
日本でカラーをする事をまだまだ怖がってる外国人のお客様は多数見られるので、そういうお客様からの信頼を勝ち取っていけると紹介客が少しずつ増えていくと思います。